DJI AVATA 日本発売ならず

DJI AVATA 日本発売ならず

2022年8月26日 0 投稿者: jizomae

Born to fly…。
Born to fly except Japan.

世界シェアトップのドローンメーカーDJIから新製品が発表されました。
その名もAVATA。
既にTwitterなどでのリーク情報で、おおよそのスペックなどは知れ渡って居ました(これ、いずれ問題になりそう)が、発表を終えて概ねリーク情報どおりでしたね。

海外用DJIサイトでは発表前にティザーサイトができて居ました。

海外では
「これでFPVを誰もが気軽に楽しめる!」
「すばらしい! これは私の最初の FPV ドローンになる。よくやったDJI !」
「DJI はこれまでで最高のドローンを作った。デザイン、品質はまさに狂気!」
などと早くも期待の声があがっているみたいです。

で、問題はと言いますと…

日本では発売されません

DJI AVATAは5.8GHz帯を使用して運用するドローン。日本では5.8Gの無資格使用を禁止しており、また、リモートID搭載が義務付けられているため、海外メーカーはそれら日本独自の電波事情や航空事情にあわせて、あらためて製品を開発しなければなりません。
今回DJI AVATAが日本で発売されないのは、「法による足枷」がDJIにとってあまりにも大きかったのが一番の理由だと考えられます。

5.8GHz帯の使用を禁止している

私らFPVドローンパイロットは、アマチュア無線4級の資格取得と、無線局開局手続きを経てやっとTinyWhoopなどFPVレーシングドローンを飛ばせています。
またコレ、アマチュア利用のみですので、空撮を生業としている場合は、さらに特殊陸上3級資格の取得と業務無線局開局手続きが必要に。
運用に至るまでの費用も数万円から数十万円かかり、期間も数ヶ月を要します。

DJI AVATAは公式のセールスポイントとして

ステップ 1: ゴーグルを装着する
ステップ 2: 離陸
ステップ 3: 小さな隙間を飛んでいる、非常識な映像をいくつか記録します。

というシンプルで手軽に始められる事が魅力であることを伝えようとしています。
※現在、上記Tweetのリンクを国内から踏んでも製品ページには行けません。

問題点はどこに

正直私自身、頭の整理がついておりません><
これまでDJIはコンシュマーモデルを積極的に日本市場に投入し続けていましたし、もちろん電波法の柵である「技適マーク」をちゃんとついていました。海外では5.8GHz運用も可能なのをわざわざ封印したり、Mavic Miniなど海外では249gなのを199gにしたりと、日本仕様に合わせたモデルを用意したりもしていました。
DJI FPVは映像伝送に2.4GHzも使用できるようになっており、日本でも発売されています。
なのにDJI AVATAはなぜ2.4GHzをやめているのか。

電波帯のこと

電波のことが嫌いな私なので、こういうときホント困るんですが、間違っていたらごめんなさいね。
一応電波利用について、世界無線通信会議なるものが設立されており、無線通信規則が定められています。
周波数分配というのが取り決めされていて、世界を3つのエリアに分けています。

  • 第一地域・・・欧州、アフリカ、ロシア
  • 第二地域・・・南北アメリカ
  • 第三地域・・・アジア、オセアニア

日本は第三地域、かな?w
考えられるのは、DJIのメイン市場は第二地域の南北アメリカと、第一地域の欧州。でも、DJIがある中国は第三地域なんですから日本と一緒じゃん。これがほんと不可思議でならないんですよね。

なので、さらに周波数分配に加えて「日本独自」の区切り方をしていて、それが中国(第三地域)と噛み合っていないのかと。

DJIドローンを複数同時に飛ばしていて電波干渉に悩まされた経験をお持ちの方は結構いると思います。
MavicやPhantomでは3台とか同時に飛ばしていても、まあ多少の電波干渉はあったにしても使える状態。DJI FPV(日本仕様)においては、2台目で結構電波障害出ます。
DJI AVATAの紹介映像では、AVATAが2台飛んでいるシーンがあります。
5.8GHzをもってしても、2台同時飛行が限界という事なのかも知れませんね。

重さのこと

多くの先進国ではドローンの飛行重量によって制限を加えています。アメリカでしたら250gがその境界。日本ですと100g。これ、ほんとナンセンスでして、ミニサイズペットボトルを無断で飛ばしたら航空法上での違法になるかも知れないって事です。

紙飛行機すらも気をつけないとならなくなりました。といっても「航空機」の定義みたいなのがあって、操縦が前提のようですから例に紙飛行機やペットボトルを出す事もナンセンスなんですが。しかし笑える(笑えない!)のが、ラジコンカーでジャンプできるやつ。航空局承認いるらしいですよw

DJI AVATAは飛行重量410g。もしも日本で発売された場合は、航空局への登録と飛行承認が必要となるのは間違いないでしょう。
そしてそれが、今回最も問題と思われる新制度が絡んできているんですよね。

リモートID

もう緩和措置期間が終わりました。これから出る全てのドローン(100g以上)はリモートIDによって登録情報を発信しながら飛ばさなくてはなりません。
いくつかのDJI製品は既にファームウェアアップデートによってリモートIDに対応しているそうです。が、現行モデルでもDJI FPVはまだかな?2022年6月20日以後、DJI FPVを購入された方はリモートIDを購入して取り付けて運用しなければならない現在なので、苦労されているかと思います。

無人航空機 登録義務化に伴うリモートID対応機種に関するお知らせ

で、最新のお知らせでは、DJI FPVについて気になる記載があります。

無人航空機 登録義務化に伴うリモートID対応機種 対応スケジュール 追加のお知らせ

その他対応予定機種: DJI FPVについては今後、本ニュースルーム、また、公式ホームページ各製品にて詳細をご案内いたします。

これの意味するところも気になります。もしかしてFPV操縦前提モデルにはリモートIDが利用できないとか水面下でやりとりがあったのかとか。

航空法のこと

日本ではFPVを目視外飛行として、目視飛行よりも危険度の高い運用と捉えているようです。
目視外飛行を行う際は必ず補助者が必要になっています。
私は目視外飛行とFPVは大きく異なるものと考えています。
例えば、自動車を運転する際、当然乗って操縦するわけですが、フロントガラスがモニターだったとしても運転は可能かと思います。逆に車外から自動車本体を客観視して運転するのは無理。真上から見下ろしながらならまだしも、斜め横とか、かなり難易度高い危険な運転だと思います。
機体を凝視している間は、燃料の残量も走行速度も把握できていません。無線通信だったら電波感度の状態も常にチェックすべきでしょう。
つまり私から言わせてもらえば、目視飛行こそ危険行為です。

ですが無人航空機については、多くのユーシキシャはそう捉えていないみたいで、FPV=目視外=リスクの高い操縦方法となっているようです。

また、多くのドローン学校の講師やDJIエキスパートライセンス所持者がゴーグルの装着や画面凝視しての運用に否定的なのもかなり影響しているのかも。FPVできないなら講師やめちまえって思っていますすいません。FPV操縦は訓練次第で誰でもできると考えています。できないならできるように向上心をもっていることも、「人にもの教える」職業には必要不可欠なのではないでしょうか。

解決には法改正しかない

ドローンに限らず海外のテクノロジーの中には導入する事で生活が豊かになるものがいっぱいあると思います。それをうまく利用する事を奨励するのが、今の日本には必要だと考えます。
規制を強いる事だけが法の役割ではないはず。
なので、「誰もが」「よりスムーズに」「テクノロジーの恩恵をうける」事が出来るよう、早急に法令のグローバル化に向けての改正が必要だと思います。

電波法について

先日、店のWi-Fiがうまく繋がらなくなって、急遽AmazonでWi-Fiルーターを調達しました。

Wi-Fi6と記載されているこの製品、よく見れば5.8G通信もしているんですね。開局届提出していないんですけど大丈夫ですか?w
そう、Wi-Fiに限ってなぜか5.8GHz運用がまかり通っています。
もしかして、国際規格だから?
ドローンについても、既に海外では操縦信号は2.4GHzで、映像伝送信号は5.8GHzでというのがメジャーになっています。日本でそれらのドローンを見かけないのは、法的に使用する事が出来ないから。見かけないから日本が既にガラパゴスアゲインな事にも気付けない。DJI AVATAの日本未発売によって再浮上しただけ、なんですよね。ほんとこの国やばいです。

5.8GHzの解放無くして、ドローン産業の発展はあり得ないかと思います。
ドローンだけじゃなく、監視カメラなどでも海外では5.8GHzの利用が進んでいるみたいです。そりゃそうだ。もう5.8GHz映像伝送は海外ではメジャーなテクノロジーですから。

航空法について

FPV操縦に有用性があることは、昨今のデジタル機器の利用で証明されていると思っています。遠隔操縦によって重機を操縦したり、離れた場所から手術を行なったり。

航空業界だって、FPVこそがカギだと思いますよ。旅客機をFPV操縦することで万が一搭乗しているパイロットに何かあっても管制塔からフォローできるかも知れない。

FPV操縦を規制するのではなく、奨励する方向に修正すべきだと思いませんかね。

そのきっかけとなるのがDJI AVATAだったのに。

リモートIDの搭載義務についても、ちゃんと海外メーカーにその搭載方法を説明し、それが実行できる事が可能かを確認したうえで施行すべきだったと思います。
それができないなら搭載義務やめちまえ。廃止。
絵に描いた餅を立法化する間抜けな国に、一体いつからなったんでしょうね。

テクノロジーのグローバル化

正直、もうメイドインジャパンにこだわる時代は終わったと思っています。
シャボン玉製造機一つとっても、もう日本製の方がしょぼい。そもそも日本で作られているのかも怪しい。

ぶっ壊れた状態で届いたのはクソですけれどもw

ドローンについて言えば、例えばSkydio。現地で$1,000くらいから買えるコンシューマー向けドローンが、日本ではローカライズついでに産業用となり、お値段100万円近くかららしいです。バカらしくて詳細知りませんが。もしかして、Skydioは5.8GHzでの運用なのを、日本向けに2.4GHzにしているからとんでもない開発費がかかっているとかかもですね。

だとしたら、海外では2.4GHz+5.8GHzで発売しているのを、日本では2.4GHzに変更して、お値段据え置きどころか、値引きまでして販売しているHolyStoneは神じゃん!w

リモートID対応していないからとっととうっぱらったw

Apple製品(Appleは日本のメーカーじゃありません)が現地価格より少々高いわけですが、10倍価格にはなっていないでしょう。これについてもふと思いましたけど、iPhoneが発表されたとき、ソフトバンク社長の孫正義さんがジョブスに近寄って「日本でも売りたい!」って言って、その後発売されたiPhone3Gからソフトバンクで使えるようになったんですけれども、もしこれが、当時「iPhoneなんて要らない!我が社にはAndroidがある!」って豪語していた他のキャリア、N○T系のあのキャリアだったとしたら…。

「産業用スマホ」とか銘打って、レンタル年間100万円とかやってたかも知れません。

そんな悪行をさせないためにも、海外ブランドがスムーズに日本にも入って来れるような「おもてなし」が必要なのではないでしょうか。もちろん、赤字黒字のバランスをとれるよう、何か日本ブランドが相手国のマーケットでもスムーズに出していけるようなカードが必要となるでしょうけど。
…つくれるの?今の日本。
…まさか、S○TENの海外販売か!www

今後DJIは日本で発売するモデルを減らすかも知れない

今回、DJI AVATAの日本での発表はありませんでした。DJI Goggles 2に2.4GHzもサポートされているところから、まだ今後遅れて日本版が発売される可能性は残っていますが、私は「それは無い」と考えています(こう言っておいた方が、後で万が一発売されていた時にネタになるw)。

ただ、今回DJIの完成機が発売されなかった事は、深刻な問題として捉える必要はあると思っています。
もしもDJIが5.8GHzでの運用こそ有用と考え、今後開発するモデル全てがそうなった場合、もう日本向けにわざわざ別の伝送技術を並行して開発することがリスクとなってしまいます。
なにせ、日本には前科がありますから。
せっかくわざわざ199gで「誰もが気軽に扱える空飛ぶカメラ」を発売したというのに、それを問題視して法改正で制限させているのです。

仮にDJI AVATAが日本で発売され、初心者でもFPVが楽しめると加速的に普及したとしたら、国内で粛々とぼったくり販売展開を行なっているいくつかのメーカーは快く思わないでしょう。あることないこと盛りつけて、やはり法改正にて制限してくるかも知れません。

DJIにとって日本市場はリスクがつきまとうと考えているのなら、それを否定できるネタが私たちにはありませんから。

DJIはこれまでプロモーション動画などで結構な頻度で使う言葉があります。

「誰もが」「簡単に」

実際、DJIは誰もが空撮を楽しめるよう、誰もがドローンを飛ばせるよう、ありとあらゆる工夫をしてきたと思います。保険制度や機体保証制度の導入、操縦や取り扱いの容易化、プロもうなる映像品質。

このコンセプトは長きにわたって揺るぎないでいるんじゃないでしょうか。

一方、日本の関係機関においては、「誰もが」なんてとてもとても。言うなれば「限られた者が」。
「簡単に」は努力しているところは認めたいですが、実際は複雑に、しかも不具合含みで。これはスキルの問題ですかね。

つまり、DJIと日本の制度は「噛み合っていない」のでは無いでしょうか。や、お役所が出す制度だけじゃなく、私を含め多くのユーザーの考え方とかも。

今後でると噂されるモデルは、DJI Mavic3の後継機、DJI Inspire3があり、リーク映像とともにシェアされています。DJI Mavic3の後継機は、現行モデルDJI Mavic3 Cineなどとの互換性を保つと予想されるので、日本が未発売となる可能性は低いので楽観視できます。出ても私は買えませんが><

DJI Inspire3はわかんないですよ。先にも述べているとおり、DJIは2.4Gと5.8Gの組み合わせによる運用が理想的な事に既に気づいていると思います。色々難ありだったDJI Inspire2の電波具合も、デュアルバンド通信で解消されるでしょうから、なおのこと。
となると日本での運用は出来ませんから、日本での発売は行われなくなる可能性が高いです。

あと、市場規模が他の国と比べて小さいのかも知れません。繰り返される法改正によって、また地域ごとに飛ばせない場所も増えて、利用する機会すら失われ続けている日本です。最近では思う存分飛ばしたいがために規制の緩い海外へ、ドローン空撮をしにいくツアーなんかも登場しています。これが今後、コロナ収束とともにさらに展開されるようになると、もう国産ドローンはおろか、ドローンを現地で調達する(レンタルする)のも割と普通になってくると考えられます。飛行機にバッテリー持ち込むのはリスキーですし、現地の電波事情や航空事情に沿ったモデルを現地で使う方が有利なのは想像しやすいかと。こうして日本の「空の産業革命」はますます後手後手になるでしょう。

終始うまく考えがまとめられぬまま殴り書きな記事になってしまっていますが、読み返してみると、今の日本のどこに「リーダーシップ」をとるチャンスが残っているのでしょうか。
ドローンなんて生まれたてほやほやなテクノロジーだったはずなのに、もう世界から明らかに遅れているし、まるで鎖国のテイです。

どうすれば…

では一体どうすれば、DJI AVATAが日本でも発売されるようになるのでしょうかね。
法改正を国民の手で直接行うのは不可能です。「変えてくれ」を伝えるための窓口も無いみたいです。
こういうとき、よく「選挙に行け」と言われていますが、変わんなかったじゃん…。

変えたいのは電波法と航空法、でしょうか。それはどうも間違いなさそう。

かつては既成事実をもって既得権的に「ドローンは既に飛んでいて莫大な有用性と利益をもたらしている」ってなっていたら、あるいはって思っていた頃もありました。
技適マークがついていなくてもドローンはなんの電波障害迷惑を起こす事なく飛んでいたし、開局していなくてもFPV運用はこなせていた。みたいな既成事実をどんどんもって、なんなら大臣連中にドローンプレゼントして好き勝手に飛ばしてもらって、そこにどんな利点や問題点があったかをアンケートしてもよかったかも。
あ、プレゼントしたら癒着となるのか。

まあ、それとは別のベクトルの方が先に行われてしまったわけですが。
一人はドローンに放射性物質を搭載して官邸に特攻。
一人は由緒ある式典で墜落。

これって、法規制することで解決できているのかも疑問ですが。しかしどうやって放射性物質なんて手に入れられたんだろう。

今、海の向こうでは戦争が繰り広げられています。そこでもドローンは活用されていますが、読売新聞でこんな記事が。
…リンク貼っていいのかな…w

https://www.yomiuri.co.jp/stream/article/19738/

命を守るためにドローンを学んでいるそうです。
言い換えれば、ドローンを飛ばせないと命が危ないって事でしょうか。

日本で戦争が勃発する可能性は、低いでしょうけどゼロでは無いです。いや、他国よりも戦争が起こる可能性、どっちかというと他国からの一方的な侵略にあう可能性は、諸外国よりも高いのではないでしょうか。
となると、政府が一体どれくらい国民を守ってくれるのか。
いまだと良いお手本(よくねーよ!)がありますね。ウクライナ。

平素から訓練しているならまだしも、「ぶっつけ本番」ほど役立たないものはないですよね。

もしかしたら、ドローンを規制しまくっていたがために、あっけなく何処かから侵略されてしまう未来がすぐそこまできているのかも知れませんね。

(すごいシメだな…w)

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